大日本印刷フレキシブル有機ELなどディスプレイ向けに低コスト化が可能な単層構造の超バリア性透明フィルムを開発
大日本印刷株式会社(本社:東京社長:北島義俊資本金:1,144億円、以下:DNP)は、フレキシブル有機ELやプラスチック液晶などに使用するフィルムとして、従来の積層したフィルムに匹敵する高いバリア性をもつ、単層の超バリア性透明フィルムを開発しました。今回開発した超バリア性透明フィルムは、蒸着方法を従来の真空蒸着方式(*1)からイオンプレーティング方式(*2)に変更するとともに、当方式に適した無機材料を選択し、最適な成膜条件を確立しました。その結果、緻密性が高く密着性にも優れ、単層ながら高いバリア性とフレキシブル性、優れた透明性を実現しました。
【背景】
これまで、有機ELや液晶パネルの基板にはガラス基板が多く使用されており、基板の薄型化や軽量化、フレキシブル化に対する要望が高まっています。これらの要望に応えるために、フレキシブル有機ELやプラスチック液晶など開発が進められていますが、そのためには水蒸気や酸素に対する高いバリア性とフレキシブル性、透明性を兼ね備えた薄型フィルムが求められていました。
これまでのフィルムは、真空蒸着方式によって金属酸化物層と有機物層を4〜6層に積層することで高いバリア性を実現してきましたが、工程が多いためにコストが割高で、積層による透明性の低下などの課題も指摘されていました。今回DNPは、これらの課題に対応した、単層構造の超バリア性透明フィルムの開発に成功しました。
イオンプレーティング技術を用いて、100nm以下の薄い金属酸化物層をフィルムに形成させることで、単層でありながらバリア性が高く、フレキシブル性に富み、高い透明性を備えた低コストのフィルムを開発しました。
【特長】
・水蒸気と酸素に対するバリア性について、4層以上を積層した従来品の超バリア性フィルムと同等レベルのバリア性(*3)を実現しました。さらに、これまでの単層バリアフィルムと比較した場合でも、水蒸気透過度で650分の1、酸素透過度で100分の1以下の優れた性能を実現しました。
・金属酸化物層が1層のみとなるため、工程が簡略化され、低コスト化が可能になります。
・全光線透過率が80%以上であることから、ディスプレイに使用するに十分な透明性を確保しています。
【今後の展開と売上目標】
量産に向けた製造技術の開発を行い、フレキシブル有機EL、プラスチック液晶、有機太陽電池への応用を進めていきます。2007年度中にサンプル出荷し、2010年に8億円の売り上げを見込んでいます。
(*1)真空蒸着方式
一般的な食料品などのパッケージに使用される透明バリアフィルムの製造方法。真空中で膜にしたい材料を蒸発(あるいは昇華)させ、その蒸気をプラスチック基板に当てて膜をつける方式。
(*2)イオンプレーティング方式
真空中で膜にする材料を蒸発させた時に+(プラス)の電気を帯びさせ、また付着させる基板に−(マイナス)の電気を持たせることで、基板が材料を含む蒸気を引き寄せることにより、密着性の良い膜を作る方式。
(*3)透過度(DNP法による)
水蒸気透過度1.5×10-3g/平米day、酸素透過度1×10-2cc/平米day